パワースポットが散りばめられた高雄市の不思議な人工湖
今回は台北駅から蓮池潭のある高鉄左営駅まで台湾新幹線(高鐵)で移動しました。移動時間は1時間半ほどです。
KKday(酷遊天)という台湾のアクティビティ予約サイトを利用すれば、外国人限定の「台湾新幹線乗り放題 高鉄3日パス」などが格安で手に入るのでお勧めです。
乗り放題パスでも窓口に行けば指定席を予約できるよ。
改札ではKKdayの3日パス と パスポートを確認されたよ。
約90分の乗車になるから予約しておくのがベターだよ。KKdayの3日パスでは座席指定に追加料金はかからなかったよ。
新幹線の座席はそれほど広くありませんので、荷物を多く持ち込むのはお勧めしません。約90分間の旅は窓から見える景色を眺めながらのんびり過ごします。
のどかな田園風景を電車が走る様子は日本とそっくりだよ。
この日は台北駅を出発して94分で高鉄左営駅に到着しました。
左営駅前に止まっているタクシーを使って移動するよ。
高鉄左営駅から蓮池潭は徒歩でも10数分で到着できますが、徒歩で到着する蓮池潭の東側にはあまりパワースポットが見当たりません。池を一周する体力がない人はタクシーで龍虎塔を目指すことをお勧めします。
龍虎塔は蓮池潭の南端にあるよ。パワースポットは西側に集まっているから龍虎塔をスタートして西側を北上して行くルートが一番楽だよ。
龍虎塔から北側にある孔子廟まで後、徒歩で駅まで戻れば一周せずに済むよ。
タクシーで10分ほどで、蓮池潭の南端にある龍虎塔に到着します。ガジュマルの木の間から見える背中に塔を背負った龍と虎が見えれば、それが龍虎塔です。
高雄熊が出迎えてくれるよ。パンツの柄が素敵だよ。
高雄熊(ガオションション)ヒーローは高雄市のマスコットだよ。「雄(ション)」と「熊(ション)」のダジャレらしいよ。熊本市のくまモンとも交流があるよ。
蓮池潭では日本人にとって最も有名な龍虎塔を目指します。海外から訪れた観光客のなかには、地域特有の装飾や派手な見た目を楽しむスポットと捉える方もいるかもしれませんが、龍虎塔は立派な宗教施設です。日本からは宗教的な情報がなかなか手に入れられないですが、現地の方々の信仰に反する行動はなるべく避けるよう気を付けたいと思います。
まずは、九曲橋を通って塔へ向かいます。ジグザグと曲がりくねった橋は真っすぐにしか進めない魔物の侵入を防ぐためだそうです。
真っすぐしか進めない魔物って、すごく生き辛そうだよね。
すごいスピードで走ってるから曲がれないとかかな。
龍虎塔の周りは蓮に囲まれているよ。蓮の花を見たい人は5月頃の朝がおすすめだよ。
看板にある「入龍喉出虎口」の指示通り、龍のノドから入って虎の口から出てきます。
よく「入龍喉出虎口」が龍虎塔のローカルルールのように書かれていますが、この作法は台湾の寺院では一般的だそうです。寺院で三つの出入口があった場合、正面門は神様のもので、人間は龍の彫刻のある入口から入り、虎の彫刻がある出口から出るのが礼儀だそうです。もちろん例外もあるそうですが、寺院に行った場合は注意深く見てみようと思いました。
「龍から入って虎から出る」は台湾での寺院等での参拝時に抑えておくポイントだよ。因為古時候「入龍喉,出虎口」是大吉大利的象徵。昔から「龍の喉に入り、虎の口から出る」というのは幸運の象徴とされているよ。
日本でいう神社参拝時に参道や鳥居の真ん中を通らないのと同じだよ。いろんなところで使えるマナーだから覚えておくと良いよ。
十殿閻羅図にある死後の裁判の様子は台南にある「麻豆代天府」を訪れれば、濃厚に体験することができます。十王による裁判などは、日本での地獄の考え方に密接に関係しているので、ご興味のある方は一度触れてみてはと思います。
古くから存在する宗教施設にある絵はその国の文化の根底に触れられて面白いよね。
宗教図や彫刻は識字率の低い時代であっても多くの人に分かり易く考え方を伝える手段だからね。みんなが考え方を共有して文化として根付くのと思うと感慨深いよ。
塔を登る途中には、またまた封神演義に関連した絵が現れます。
スカジャンにありそうなデザインだよ。
スカジャンに龍と虎がよく使われる理由はなにかな。
「なんかかっこいい」だと思うよ。
龍の方の塔を螺旋階段を使いどんどん登っていきます。登ってみるとけっこうな高さになります。必ず登りなさいという注意書きはないので、辛い方はそのまま虎の方へ進んでも良いかもしれません。ここはまだ湖のスタート地点なのですから無理は禁物です。
塔の内部は、床が地面と平行ではなく欄干が低いため、縁側に出て外の景色を見るのが少し怖いですが、細かな龍や虎の装飾や湖の他の施設などが見えて面白いです。
続いて、龍の塔を降りた後、裏側から出て龍と虎の後ろ姿を眺めながら虎の塔へと進みます。
池側に建っているから個人的には龍の塔の方が眺めが良い気がするよ。
龍虎塔の向かいには保生大帝という道教の神を祀る左營慈濟宮があります。保生大帝は「生を保つ神」との意ですが、呉夲という実在したお医者さんが死後に神として祀られたものだそうです。
この寺院には主祀されている保生大帝以外にも朱府千歲、曹府千歲、註生娘娘といった神様が同祀あるいは陪祀されています。
龍虎塔は保生大帝のお告げにより建てられたそうだよ。
龍虎塔はあくまで、左營慈濟宮のおまけだよ。
保生大帝の両脇にも神様が祀られていて、それぞれ正面には赤く高い敷居のついた出入口がありますが、これらは神様専用の出入口です。参拝者用の門は5つあるうちの右端(龍門:入口)と左端(虎門:出口)ですので、お間違いないようにしましょう。
左營慈濟宮の装飾は圧巻だよ。保生大帝の視線の先には龍虎塔が真正面に見えるよ。
ここのおみくじ「薬籤」は内科や眼科を選んで貰える結果が処方箋になってるよ。近所の薬局に処方箋を持ち込むと実際に処方してもらえるらしいよ。
左營慈濟宮を出て左手に曲がり湖沿いを北上していくと、すぐに巨大な龍に乗った観音像(騎龍観音像)が見えます。この騎龍観音像を祀っている施設なのかと思いきや、春秋閣で祀られているのは「關聖帝君(関羽)」だそうなので間違えないよう注意しましょう。
この施設のインパクトもなかなかだよ。
この日は大雨の影響か龍のおなかの中は水浸しだったよ。入ってすぐに清掃していたおばちゃん達にこれ以上は進めないよって言われたから中の写真は全然撮れなかったよ。
龍の体内は龍虎塔と同じく道教関連の立体図が描かれているよ。春秋閣の龍は龍虎塔の龍に比べて肉食獣系の歯をしてるね。体内は結構長めの通路になっているよ。
龍の体内を抜けるか、横に建つ春閣・秋閣を通って裏手に回り込むことで、湖に向かって真っすぐ伸びる五里亭まで行くことができます。
五里亭への橋は真っすぐだけど、春秋閣への橋はちゃんと九曲橋になってるから魔物は入れないよ。
春秋閣から五里亭までは、蓮に囲まれた橋を通って真っすぐと進みます。蓮満開の季節はすばらしい景色になることだと思います。
五里亭から帰る途中、春秋閣の間にそびえたつ騎龍観音像の向こう側に見える建物が「啟明堂」です。こちらも位置関係からわかる通り春秋閣と対になっている施設です。
啟明堂は「關聖帝君(関羽)」を主祀しているよ。
電光掲示板も相まってかなり派手な寺院だよ。
湖を北上し続けると、龍虎塔や五里亭から見えていた恐ろしく大きな像が近づいてきます。この像が北極玄天上帝です。ここにくると、地元のお年寄りの方々がカラオケを楽しんでいるのを聞くことができます。
ひと際大きな像が威風堂々とした佇まいで鎮座しておられます。手には巨大な七星剣を携え、玄武(蛇と亀)を踏みつけて真っすぐと前を見据えています。北極の名を冠する通り、玄天上帝は北極星(回る星の中心に位置する宇宙の中心)を守護する武神です。この神様が七星剣(北斗七星を刻んだ剣)を振るうのは、星の位置関係から見てもしっくりくるのではないでしょうか。
踏みつけられている玄武を見ると、退治された感が満載ですが、実際は方位を司る四神(青龍、白虎、朱雀、玄武)のうち、北の玄武と同一視されたためにセットで建立されたようです。しかし、玄天上帝が亀蛇の妖怪を退治するとき、部下の三十六元帥を質として保生大帝の宝剣を借りたものの、妖怪退治後も宝剣を返さなかったため、玄天上帝は鞘のない宝剣を持っているという話も存在するため、こちらがモチーフの可能性もあります。
七星剣の借りパク説はなんか嫌だよ。ちなみに質に入れたとされる三十六元帥の石像は、玄天上帝像へ向かう橋の上に並んでいるよ。
すぐ近所に祀られている保生大帝に真相を確認した方が良いよ。
玄天上帝像への橋は九曲橋ではなく、真っすぐと伸びた橋だよ。七星剣を携えた最強格の武神には魔物を近づけない小細工は不要なのかも。
玄天上帝をお参りするときは写真にある右手にある禮門から入り、左手にある義路から出よう。この出入口の名称は、孟子の言葉である「礼は門であり義は道である、ただ君子だけがこの道に由りてこの門を通ることができる」から来ているのかな。
玄天上帝像からさらに北上を続けます。蓮池潭に大量にあるスポットのうち、本当に一部しか回っていないことがわかります。
蓮池潭の北側、大きな敷地と白い門が見えてくれば、それが孔子廟です。他の施設のような巨大な像や煌々と輝く電光掲示板などはなく、洗練された印象の施設だと感じました。
台湾最大とのことですが、広大な敷地に対して建物は点在している印象です。こちらの寺院でも、玄天上帝へのお参りと同様、禮門から入り義路から出るを実践しましょう。
日本人の観光客はあまり来ないみたいだよ。台湾の人もあまりいなかったから写真を撮るのを忘れたよ。
他の施設に比べるとインパクトが少ないからね。あとは孔子廟は学者を祀っているから、パワースポット目当ての日本人にはスケジュール的にも省略されがちなのかも。
湖を半周したところで、高鐵左營站へと戻ることにしました。帰り道にはかわいいブロック調の龍虎塔のアートがありました。
パワースポットが多すぎて一日では回り切れなかったよ。
自分が得たい御利益に応じてどこに行くかを決めておいた方が良いかも。全て回りたい人はレンタル自転車も選択肢になるよ。
[…] 台湾新幹線(高鐵)の高鉄左営駅と接続する左営駅(高雄MRT)から、駁二芸術特区がある西子湾駅へ移動します。(台北駅から高鉄左営駅までの行き方はこちらの記事をご参照ください。) […]